昨日こそ
早苗とりしか
いつのまに
稲葉そよぎて
秋風の吹く
詠み人知らず
きのふこそ
さなへとりしか
いつのまに
いなばそよぎて
あきかぜのふく
よみびとしらず
ほんの少し前
昨日あたりに苗を植えたように思っていたのだが
いつのまにやら稲の葉が育っていて
稲葉をそよそよとなびかせる秋の風が吹いているよ
なんと九月ももう半ばを過ぎてしまいました・・・。
早いですね。
秋です。
世間ではハロウィングッズなどが売られていたり、
それどころか来年の手帳まで見かけるようになりました。
何をやっているんでしょうか私は。
暑かったりいろいろとあって、ぐでーっとくたーっとしている間にも、
当たり前ですがときは過ぎて行きます。
青菜に塩みたいになっている場合ではないですよねえ。
そうは思っても身体にも歳にも勝てない・・・。
あああ・・・。
それはともかく、
まだ残暑っぽさはあるものの、ようやく涼しくなってきました。
秋の虫の音も、日々音量が大きくなっていくようです。
じーんと心にしみる音色です。
世の中には音叉セラピーとやらがあるらしいですが、
虫の声の周波数(?)も、何となく身体と心に良いような気がします。
あくまでも個人的な意見ですが。
そういえば、今年の夏は蝉の声をそれほど聞きませんでした。
いつもより蚊に刺されなかったし・・・
それだけ暑かったということですよね。
虫もあんまり活動しなかった・・・。
だから一応は生命体で人である私だって、当然活動はひどく鈍る・・・。
あああ、またまた言い訳を・・・。
それはまたとりあえず置いておいて、上の歌です。
つい昨日かそこらにこんなことあんなことがあった、
あるいは何かをしたと思っていたのに、
あらら、こんなにも時間がたっていたんだ・・・
こういうことはわりとありがちなことかと思います。
現代人はせわしないとか言われますが、
昔の人たちだって同じようなことはあったのですね。
歌の雰囲気からすると、
実際に稲の植え付けをした人が詠んだというよりは、
そういった光景を眺めた人の感慨を詠んだ和歌、という気がします。
そうでなければ本当はもう少し素朴な感じの歌を、
王朝風(?)に変えたのかもしれませんね。
苗が植えられて時間がたつにつれて青々と育っていき、
今度は段々と黄金色の実りの時期を迎える、
そんなところにまるで人の成長過程でも見るような、
または何か人生の悲哀を感じるような、
何ともいえない独特の気分みたいなものを感じている詠み人、
こんなことを思うのは奇妙でしょうか。
いずれにしても、詠まれた光景が目に浮かぶような爽やかな和歌です。
暑い暑いと言っているうちに秋がやってきて、
そうこうしているうちに今度はやたらと寒い冬がやってくるかもしれず、
あああ・・・
困るよお・・・
などと考えるのでした。
オチにも洒落にもなっていませんね・・・。
ああ・・・。
何だかいろいろと
面倒くさい生き物
ですよね