感想文 1 序文を読んで

 

「青空文庫」さんから引用

 

レ・ミゼラブル
LES MISERABLES

豊島与志雄

 

一七八九年七月
バスティーユ牢獄の破壊に
その端緒を開いた
フランス大革命は、
有史以来人類のなした
最も大きな歩みの一つであった。

その叫喊(きょうかん)は
生まれいずる者の
産声(うぶごえ)であり、
その恐怖は
新しき太陽に対する
眩惑(げんわく)であり、
その血潮は
新たに生まれいでた
赤児の産湯(うぶゆ)であった。

そしてその赤児を育つるに
偉大なる保母が
なければならなかった。

一挙にして共和制を
くつがえして帝国を建て、
民衆の声に代うるに
皇帝の命令をもってし、
全ヨーロッパ大陸に
威令したナポレオンは、
実に自ら知らずして
かの赤児の保母であった、
偉人の
痛ましき運命の矛盾である。

帝国の名のもとに
赤児は
おもむろに育って行った。

やがて
彼が青年に達するとき、
その保母には
ワーテルローが
なければならなくなった。
・・・・・・

 

引用終わり

 

文章が
やけに格調が高いです・・・。

古い時代風の教育
を受けると、
こういう文章が
書けるように
なるのでしょうか・・・。

まだ序文です。
訳者さんのです。
この序文でも
けっこうな長さの
文章が続きます。

 

作者の序文は
まだまだこれから。

 

訳者の豊島与志雄さんは
親切な方だと思います。

序文で
小説の内容を
明らかにしている
感じだからです。

もちろんあくまで
おおまかに
雰囲気を伝えている内容、
といっていいと思いますが。

これも
翻訳された
時代のせいでしょうか。

 

今だと、
あとがきを
最初に読んでみてから
読むかどうか
決めたり
もしますね。

 

フランス革命を
人類史上最も大きな歩み
と表現なさったのも
時代でしょうか。

 

精神面での革命的な変化は
まったく別のものとして、
現実の世界での革命には
恐ろしくて
血なまぐさいイメージが
どうしてもつきまといます。

血だけではなくて、
たくさんの涙も
流されたでしょう。

身分の低い者、
弱き者たちのため
とは言いながら、
実際には
多くの力のない人たちも
犠牲になったのだ
と思います。

現在では
よく知られたことですね。

 

人が
人生での
一歩を踏み出すのには、
大変な勇気が
必要だと思います。

わずかな歩み
だとしてもです。

 

では、
人類の歴史での一歩
はどうなんでしょうか。

多くの人の思いが
凝縮されて
踏み出された歩み
には違いありません。

でもその「思い」
というものが問題で、
たぶん
とてもやっかいで
扱いにくい「かたまり」
です。

これはしばしば
大混乱の材料
となってしまうようですね。

 

この思いというものを
何とか解きほぐして
慎重な姿勢で
歩みを進めたら、
人生
もしかしたら
何とかなる
のかもしれません。

 

大勢の人たちの思いを
解きほぐすなんていうことは
できないのかもしれない、
それでもどうにかして、
より善良な思いを
汲み上げて慎重に
歩き進むとするなら・・・

人類がなす本当に本当に
大きな歩みのひとつ
になる・・・

そんなことが起こったら、
何とかなるどころか
大きな希望です・・・。

 

うーん、いろいろ難しいよねえ・・・

 

 

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