時代かな・・・?・・・

 

ならの帝の御歌

 

ふるさとと
なりにし奈良の
都にも
色はかはらず
花は咲きけり

奈良帝

 

 

ならのみかどのおほんうた

 

ふるさとと
なりにしならの
みやこにも
いろはかはらず
はなはさきけり

ならのみかど

 

 

奈良の帝の御製

 

古く さびれた里となってしまった奈良の都にも
昔から そして今も 色が変わることなく
花は咲いているのだなあ・・・

平城天皇(奈良帝)

 

 

 

朝晩が冷え込む季節になりました・・・。

昼間は晴れていて動くと汗ばむくらいでも、
夕方以降などは油断できません。

風邪をひきやすい頃です。

 

 

さて、上の歌ですが・・・
これはたぶん今としては季節外れですよね。

今の時期だってキク科(?)などの綺麗な花を眺めることはできますが、
この感じだとおそらく春の和歌なのでしょうね・・・。

で、何の花かというとよくわからないのですが、
春の花の代表といえば
古今集的には桜か・・・
でも詠まれた時代などを考えると、
奈良の都を歌っているくらいなのだから・・・
やっぱり本来は梅の花なのでしょうか。

 

梅の花も桜に負けず劣らず美しい花ですよね。

 

平安時代に花、それも春の花といったら桜と決まっていたようですが、
その前の時代だと大陸趣味というか現代でいう中国風といったところで、
梅の花を愛でていたそうです。

 

 

この歌はいつ詠まれたのでしょうか。

体調が悪くて譲位した後に奈良に住んだ頃の和歌でしょうか。
それとも、薬子の変の決着がついたのちに失意のなかで
歌われたのか・・・。

何だかいろいろと思ってしまいますね。

 

不思議な気もしますが、
はっきりと平城天皇(奈良帝)の御歌と言葉にあるのは、
上のこの歌一首だけのようです。

平安時代に天皇に即位したといっても
まだはじめの頃のことだし、
学問といえばやはり漢学で、
漢詩のほうが得意だったからでしょうか。

 

 

考えてみたら、
怨霊つながり(?)の菅原道真公も漢学には秀でていたそうです。
学者ですから当たり前、ということでしょうかね。

 

まあ、菅原道真公は怨霊として恐れられた方、
奈良帝は怨霊に悩まされたことになっている方、
この違いはありますが、
その時代なりに様々に利用され、たぶん利用もして、
それを良いことと考えていたかどうかは知る由もないですが、
結局は運命だったのか負けた側となってしまった・・・
これは大きな共通点ですね。

 

案外このふたり、
性格的に似たところがあったかもしれません。

 

もっとも、菅原道真公はそんなに悪いことをしたとは思えず、
その身分からいえば出世し過ぎて周囲に恨まれて左遷された、
何かの変だのを起こしたわけでもありません。
出世させた宇多天皇のほうは道真公が左遷された頃には、
確か譲位していたんですよね。
だからその力に限界があった、ということで、
あんまり天皇からの信任が厚いのも考えものだったんですね・・・。

 

そこへいくと平城天皇は短い期間とはいえ自分自身が天皇、
政治と経済の再建に熱心に取り組んで、なのに病で譲位、
無念ではあったでしょうが、
皇太子時代から大事にされていた藤原薬子や、
その兄で藤原氏のさらなる興隆と繁栄を願って積極的だった仲成は、
さらにさらに悔しかったのでは、とも思います。

薬子の変ののちには特に。

だいたい奈良帝は変の後で一応はちゃんと生存できたし・・・

 

これじゃあ性格に似た部分があったとしても、
平城天皇と菅原道真公は仲良くなれないような・・・

 

だからといって
やる気と野心たっぷりの藤原きょうだいの怨霊とも、
何だか気は合わなさそう・・・

合うわけないか道真公を迫害したのも藤原氏だから。

 

本当にある時代から藤原ばっかりよく出てくる・・・

 

で、菅原道真公だって暗殺とかされたわけではないでしょうから、
あまりふさわしくない表現かもしれませんが、
奈良帝とは、どこか同類相哀れむ、
といったところはあるかもしれません。

運命は優しくなかった、といった意味で。

能力があっても、位を与えられたとしても、
必ずしも思い通りにはならない、という意味でも。

 

 

長い長い時代を経ておふたりとも、
今ではすっかり成仏なさっているでしょうから(ですよね)、
昔々のことなど忘れて下界を見守っていらっしゃる・・・・・・
のかもしれません・・・。

 

まさか、今はもう怨霊ではないでしょうね。
ええ、怨霊のわけはありません。
そう思わなければ怖いですから。

 

 

現代は、
残念ながら新たな怨霊が
続々と誕生(?)してしまっているようですから、
そこへ古代の、
パワー全開型怨霊(?)までが加わってしまったりなんかしたら、
明るい道だって恐ろしくて歩けません。

 

怖い怖い世の中です。

 

 

 

こんな時代を生きて行くためには、
けっこうな根性と知恵が必要なようですね・・・。

 

 

明るくなあれ!
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