秋の夜は
露こそことに
寒からし
草むらごとに
虫の侘ぶれば
詠み人知らず
あきのよは
つゆこそことに
さむからし
くさむらごとに
むしのわぶれば
よみびとしらず
秋の夜には 露がことさらに寒いようだ・・・
それぞれの草むらで 虫たちが
悲しみ嘆いている様子を眺めれば(それがわかる)・・・
九月八日から、
今現在刻々と近づいている秋分を迎えるまでは、
二十四節気では白露(はくろ)ということになります。
白い露と書いて白露(はくろ)なんて、
何だか素敵な響きの言葉です。
白露とは九月八日頃からはじまり、
朝晩に山々や野では白く光る露が降りて、
いよいよ秋の気配を感じられる頃、
ということだそうです。
何でも、この時期には雁がやって来て、
鶺鴒(セキレイ)も鳴き出し、
燕(ツバメ)は南へと旅に出るらしいですね。
うーん、雁はよくわからず、
ツバメを見かける機会は減り、
セキレイってどんな風に鳴くんだっけ?・・・
といった感じではありますが、
とにかく昔からそう言われているのだから
そうなんでしょう。
そして夏に降りる夜露だって同じ(?)露なのですが、
上の歌のように、
秋の露は虫にとっても冷たいでしょう。
まあ、今はまだ寒いというには少し早い気もしますが。
また、私には寒さで嘆き悲しんでいるというより、
越冬しない虫たちが今のうちに
一生懸命に命を燃やして鳴いている、
という風に感じられます。
同じような光景を目にしても、
感じ方はそれぞれです。
それに夏の夜露だって、
月などに照らされれば綺麗に光っているようですしね。
でも秋!秋だからこそ「しらつゆ」
こんな感じでしょうか。
王朝人だって
夏には暑くて和歌をあまり詠む気がしなかったのか、
昔の暦では秋の行事だった七夕の際の歌までは、
それほど力を入れて和歌を詠んでいないような気がする・・・
あくまで何となくの個人の感想です。
王朝時代(?)の夏に詠まれた歌は、
咲き遅れた桜だとか藤の花だとか、
ホトトギスだとかホトトギスだとか、
それからえーとえーと何だっけ?などと、
無知な私では
あまりにもお題だかテーマだかが思い浮かばず、
ああ、知識がない・・・
それと比べれば秋の和歌は
けっこうお題だかテーマだかが豊富・・・
あくまでも無教養な個人の印象です。
ともあれもうすぐ秋分の日、
春分と同じで昼夜の時間の長さがほぼ一緒、
秋のお彼岸でもありますね。
それが過ぎれば・・・
読書の秋、芸術の秋、スポーツの秋、食欲の秋・・・
と、人それぞれ充実した時間をお過ごしになる方も
多いのでしょう。
秋分を境に段々と本格的な秋の夜長となり、
昼間じゃなくて夜にはあまり食べちゃダメ・・・。
このことはひとまず(?)置いておいて、
今だって、ああ、もう暗くなった、なんて具合なので、
これからますますそんなことが増えますね。
で、虫の声を聞きながら
部屋の中で読書などをしたりして、
ふと外を眺めれば、
ああ、月だか街灯だかで夜露が光っている・・・。
ああ、うろうろしていましたが
何とか上の歌につながりました。
白露だとか露が何とやらだとか書いていたのに、
うろうろつらつら何だか方向が定まらず・・・。
これって秋に特有な現象でしょうか。
・・・そんなわけはありませんね。
うつらうつらと
過ごしても
人とおんなじときが
流れるのかな
それは
何ともいえないなあ