天平十年七月七日夜 独り天漢を仰ぎて聊か懐いを述ぶる歌
織姫し
船乗りすらし
真澄鏡
清き月夜に
雲立ち渡る
大伴家持
天平十年七月七日夜
ひとり あまのがはを あふぎて いささか おもひを のぶるうた
たなばたし
ふなのりすらし
まそかがみ
きよきつくよに
くもたちわたる
おほとものやかもち
織女(おりひめ)がちょうど船に乗って
天の川を渡って行くところのようだ
船出する水しぶきの勢いで
澄んだ鏡のように清らかに晴れていた月夜には
雲が広がり渡って行くよ
七夕ですね・・・。
新暦の七夕らしく雨・・・
どころか大雨で大変なところも・・・
正直気分が盛り上がるとはいきませんよね。
実際のところ今年の七月七日は旧暦ではまだ五月二十四日、
本来の七夕の節句の季節までは間があります。
今の時期に織姫と彦星が無事に逢うことは難しそうです。
だいたい、今年は梅雨が明けたのか明けないのか、
というより、いつはじまっていて、いつ終わるのか、
そんな疑問すら湧いてきます。
何やら天気も気まぐれみたいですね。
あんまり暑いのは嫌だけれど、
雨が降り過ぎたりするのももちろん困ります。
すっきりくっきり夏らしくなってほしいなあ・・・。
ああそういえば、明日の七月七日は小暑でもあります。
その頃に梅雨が明けて暑さも厳しくなりはじめ、
本格的な夏になると言われているようです。
ほんとに?・・・
だと、まだ良いのだけれど・・・
なんだかなあ・・・。
夏が人にうれしい季節かどうかは微妙ではありますが、
とりあえずこれからは穏やかな夏になることを願います。
ああ、でも穏やかなら穏やかで今度は秋の台風が心配、
気が弱いと何でも不安になります。
困ったものですね。
昔の七夕は最も暑い頃、そして、その時期が秋のはじまりだとも
考えられていたようです。
現代では意外な感じも多少ありますが、
七夕って秋の行事だったんだな・・・。
確かに、少なくとも織姫と彦星がちゃんと巡り逢える可能性が高そうな季節です。
昔から七夕の行事食のひとつは「そうめん」だったそうで、
これはまさに夏の食べ物のイメージがあります。
秋の行事のはずが、何だか面白いですね。
そうめん、そうめん、
お腹が空いてきます。
上の歌は美しい天空の世界を詠んでいるはずなのに、
そうめんのほうが気になるとは、修業が足りなすぎでしょうか。
さらに古くは中国大陸から伝わった揚げ菓子が七夕の行事食だったようで、
こちらも美味しそう・・・。
揚げたお菓子でも蒸しパンでも、もちろんそうめんでも、
何でも良いから、七夕を思いながら食べたい・・・。
結局食べ物か・・・。
霞んだ雲に
隠されて
光もかすか
ただぼんやりと